犬の出産

犬は安産だと昔から言われていて、人間でも妊娠すると戌の日に腹帯を巻く儀式があるくらいですが、実際どうなのでしょう。実際この目で犬の出産を見て、全然安産ではないと思います。種類によっては自然分娩が無理で、最初から帝王切開の犬種もいるくらいです。ブリーダーではない素人の繁殖は危険を伴いますので、自分の愛犬の子供が見てみたいという安易な考えでの繁殖は絶対しないでください。特にミニチュアダックスなどのダックス系は掛け合わせてはいけないタブーが数多くあり、血統書を見ただけでは判断できませんので不幸な子犬を残さないためにも素人繁殖はやめましょう。

犬の出産への心構え

繁殖をする前に妊娠期間から出産、出産後のことをきちんと考えなくてはいけません。妊娠期間中の母犬の管理、出産も含めて産まれるまでにかかる費用、出産後、離乳食が始まる頃までは母犬と兄弟犬と一緒に過ごしますがそれまでの管理ができるかどうか。出産後の母犬は自分で子育てを全部やるとは限りません。中には子育てを放棄する犬もいます。その場合の数時間おきの人工哺乳や排泄の世話などは、飼い主がしなければいけません。産まれた子犬を譲るときに金銭のやり取りが発生する場合、たとえブリーダーではない一般の者でも動物取扱業者として登録が平成18年6月から必要となりました。これに違反すると30万円以下の罰金に処せられます。また、産まれた子犬の譲り先が決まらない場合に、責任を持って自分で一生世話をしていけるかどうかもきちんと考えましょう。

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犬の妊娠の兆候

厳しいことを書いてしまいましたが、出産をさせようと考えている人はある程度の情報収集をし、知識を身につけられてきたことでしょう。インターネットでの出産の動画などもチェックされているかもしれませんね。ここではあえて交配のことは触れませんが、血統書を申請する場合には交配時から必要な事柄もあります。純血種でも血統書がない場合は、たとえ繁殖目的でお譲りするわけではないので血統書はおつけしませんといわれても、それが一般の人だと、交配時にちゃんとしてないから血統書が発行されなかったのでは? と思ってしまうのは自分だけでしょうか。話を戻しましょう。犬の妊娠期間は63日だといわれていますが58〜68日と開きがあるようです。交配してからの1ヶ月ほどは普段と同じ生活をさせてあげて運動不足にならないようにします。交配から20日前後で子宮内に着床して30日を過ぎる頃から人間で言う「つわり」の症状が出てきて食欲が減退したり嘔吐する場合もあります。

犬の妊娠の確認

交配後30日を過ぎると動物病院でのエコー検査で妊娠の確認ができます。擬似妊娠の可能性もあります。体重もこの頃から徐々に増え始め、お腹も40日前後から日に日に大きさを増していきます。お腹の大きさで胃が押し上げられて一度にフードを食べられなくなりますので、少量に分けて数回与えるようにします。動物病院で妊娠の確認ができたら、夜間の出産でもあわてないよう、緊急時に診察時間外でも診てもらえるかどうか、その場合の連絡先なども聞いておきましょう。

犬の出産の準備

出産予定日2週間くらい前になったらX線写真でお腹に何匹いるかを確認します。頭数がわからないと、出産時に自力で最後まで埋めない場合に実はもう1匹お腹にいてダメだった。などという事態を防ぐことができますし、出産の準備をするにも頭数は把握しておくべきです。予定日の1週間前になったら朝晩と検温をします。平温を把握していると出産の兆候も見逃しません。出産に入るときに、体温の変化があるからです。人間用の電子体温計で十分でしょう。出産に向けてこれだけは用意しておきましょう。
・電子体温計(人間用でも可) ・タオルかガーゼ(子犬のつめが引っかからないような生地) ・はさみ(へその緒を切ります) ・デジタルスケール(子犬の体重を量ります) ・もめん糸(へその緒を縛る糸)
最低限必要なものです。あわてないようあらかじめ準備しておきます。出産するための場所は、うるさい場所や人の出入りの激しい明るい場所は避け、ふだん使っているサークルを使用する場合は上にダンボールなどをかけて暗めにしてあげます。中は清潔にしてタオルなどを入れてあげます。出産後、子犬が出てしまわないように我が家ではサークルの下部分をダンボールで覆いました。

犬の出産の兆候

出産の始まる兆候は体温で判断します。犬の平熱は人間よりも高く、平均38〜39度前後です。出産が始まる24時間前になると体温は1度さがりますのでこれが目安となります。徐々に落ち着きがなくなり、生む場所を探してうろうろしだしますので静かな環境を作ってあげましょう。

いよいよ出産

穴を掘る仕草がみられ、いよいよ分娩の始まりです。便を出すようにいきみだしますので陣痛とはっきりわかるでしょう。この時点で破水する犬もいます。このときオリモノが出たりしますが、色が緑色であっても心配いりません。やがて陰部から緑がかった液体の入った袋が出てきます。次に子犬の鼻が見えてきます。途中まで出て、そのまま分娩が続かない場合は引っ張って出産を助けてあげましょう。産み落とすと母犬は子犬が包まれている袋を破りへその緒を噛み切りますが、噛み切る場所が短すぎると血が止まらなくなって危険ですので、へその緒は飼い主が糸でしばって切るのが安全です。お腹から数センチのところで2ヵ所しばり、しばった間をはさみで切ります。その後、胎盤が出てきますが、子宮の収縮に効果的なので食べさせた方がいいという人と、下痢をするので与えないほうがいいという人とがいますので、これは一概にはいえないでしょう。最初の胎盤だけ食べさせるのがいいかもしれません。10〜30分おいて次の陣痛の波がきます。この繰り返しで母犬は子犬を出産します。出生時の体重を量って記録しておきます。後にちゃんと体重が増えているかどうか日々チェックしなくてはいけません。
※2時間たても産まれない場合は母子犬ともに危険ですのですぐ獣医さんに連絡して診てもらいましょう。

出産後の母犬

出産を終えた母犬は大変疲れているにもかかわらず、子犬の世話に明け暮れるでしょう。子犬に飼い主やほかの犬を近づけないよう威嚇したりします。おっぱいがよく出るように栄養のあるフードと水分をたっぷり与えましょう。中には育児放棄してしまう母犬がいますので、その場合は飼い主が子犬の世話をします。

我が家の出産騒動記

母犬になる子は体格も小さく、獣医さんからはおそらく産まれるのは2〜3匹だと思うといわれていたのですが、交配後40日をすぎてX線写真を撮ったところ、「お腹の中・・・赤ちゃんだらけです」と先生から告げられました。なんとあの小さな体に5匹もの赤ちゃんが入っていたのです。獣医さんも驚く数でした。予定日1週間前から検温を始めようと思い、検温開始から2日目。いきなり体温が下がっています。驚いて獣医さんに連絡しました。その時間、夕方4時。その日の朝は36.9度まで体温が下がりました。それは夜中、突然始まりました。
2:05 寝転んだ姿勢のまま足をピーンと張る仕草。軽くいきんでいる様子。
2:08 穴を掘る仕草を見せる。下腹部を気にしている。
2:30 眠いのか、うとうとしながらも呼吸が荒い。
3:40 袋が出る。袋の中の液体はなんだか黒っぽい。大丈夫かな・・・獣医さんに連絡を入れる。
4:33 袋が出たままいきまなくなったため動物病院へ。獣医さんが陰部に指を入れて出そうとするが出ない。陣痛促進剤を使い、いきみにあわせて獣医さんが引っ張る。袋の中の液体の色を見て、獣医さんにダメかもしれないと告げられる。
5:00 第一子、パーティー柄の雌が誕生。獣医さんは次の子を出すため奮闘している。自分はタオルに包まれた第一子の鼻や口から羊水を出すために振り続ける。すっぽ抜けて飛んでいきそうで怖い。振るのと体をこするのと交互に行う。20分ほどで産声をあげた。獣医さんも自分たちもダメだと思っていただけに驚く。
5:30 陣痛促進剤を使ってもどんどん陣痛が遠のいていくので急遽、帝王切開に切り替える。母犬を病院に残して帰宅。
午前11時には帝王切開も終わり麻酔からも覚め、子犬におっぱいを与えていると病院から電話がありました。夕方に家族みんなで迎えに行き、124グラム〜156グラムの5匹の子犬たちが入れられた小さな小さな箱を受け取り、母子ともに元気で家に帰ってこられたことを喜びました。育児も一生懸命にこなし、5匹の子犬も今では立派な成犬になりました。譲ってほしいという人もいましたが、出産から見ている子犬たちが可愛くて、どうしても離すことができずに手元に残しました。こうして我が家は親犬含めて7匹と1歳を過ぎてから里親になった2匹の大所帯になってしまいました。愛犬の出産シーンと育児を見て思ったこと。決して犬は安産ではないし、育児中の母犬は見るからにボロボロです。二度と出産はさせるまいと避妊の処置をしたのです。どうか愛犬に出産させるときは産まれてくる子犬のことばかりではなく、母犬や周りをとりまく環境を十分に考えてください。自分も出産経験者ですが、犬の出産の方が大変だと思います。

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