RMT

高速回線・ブロードバンドの普及によって、インターネットを利用した新しいゲームの形態、オンラインゲームは隆盛を誇っているのはご存知でしょうか? しかし、最近の報道ではオンラインゲーム利用者による違法行為が急増し、逮捕者が次々と出ています。そういったオンラインゲームが抱える最大の問題こそが『RMT』なのです。

RMTとは?

RMTとは、リアル・マネー・トレーディング(Real Money Trading)の略称で「現実のお金(Real Money)で売買取引を行う(Trading)」という意味です。現金で『ゲーム内の貨幣や希少アイテムを買う』という行為を示しています。

RMTの原点とは

RMTという概念が生まれたのは、名作RPG「ウルティマ」シリーズのオンライン版「ウルティマオンライン(以下UO)」であるといわれています。UOは、『冒険者の一生を疑似体験できる』という自由度の高さと熱中度の高さが話題を呼び、プレイするために必要なクレジットカード(当時プレイ料金を払い込むのに必要だった)と安定した回線がある余裕のあるユーザーを次々と取り込むことに成功したのです。しかし、やり込む時間に余裕のあるユーザーと、わずかな時間しかプレイできないユーザーには格差が生まれます。その格差を埋めるために、ネットオークションを利用して良いアイテムなどを得る動きがRMTの原点と言われています。ちなみに、UOと同時期に登場したオンラインRPG「ディアブロ」にはシステム上貨幣の概念が無かったため、RMTにはさほど関係が無かった希有なゲームとなりました。

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RMTが発達した理由

1999年までのオンラインゲームのタイトルは片手で数えられるほどだったのですが、ブロードバンド回線の普及に伴い、オンラインゲームの人気が爆発的に上昇していきました。つまり、運営の基盤となるユーザー層の拡大が起こったのです。これによって、個人単位で行われてきたRMTが商売として成立する条件が整い、いわゆるRMT業者が雨後のタケノコのように増加していったのです。

なぜRMTをするのか

なぜ、RMTが商売として成立するのでしょうか。そこにはいわゆる「ゼノンのパラドックス」が介在しています。

ゼノンのパラドックスとは

俊足のアキレスと亀が競争するとします。亀にはハンデとしてアキレスよりも数m先の地点Bからスタートします。地点Aをスタートしたアキレスと亀の差は数mあります。しかし、アキレスがA点とB点の間のQ点まで移動した時、亀もまたR点まで移動しています。アキレスが移動した分だけ亀も移動します。つまり、アキレスは永遠に亀に追いつけないのです。これがゼノンのパラドックスです。

既存ユーザーと新規ユーザーの差

ゼノンのパラドックスは、よく考えてみれば成立しないように思われます。しかし、オンラインゲームにおいてはゼノンのパラドックスは成立するのです。亀を既存ユーザー、アキレスを新規ユーザーに置き換えると良くわかると思います。新規ユーザーが既存ユーザーに追いつくために経験値の低い弱いモンスター相手にレベル上げを行っても、既存ユーザーは経験値の多い強いモンスターと戦うだけの用意が出来ています。この差を埋めることは一朝一夕に出来ることではないのです。これこそが、RMTの需要の理由の一つなのです。

RMT横行の原因とは

RMTは、新規ユーザーにとって「現金でゲーム内貨幣やアイテムを購入できるシステム」と考えることが出来ます。しかし、逆に言えば既存ユーザーにとっては「新規ユーザーを対象にした趣味と実益を兼ねた金稼ぎシステム」でもあるのです。「RMTを利用すれば既存ユーザーとの差が埋められる」と考える新規ユーザーと、「RMTはゲーム内の稼ぎを現実の利益に変換できるシステム」と考える既存ユーザーの意識の違いは、RMTを一大市場へと育て上げることになったのです。

RMTの抱える問題点とは

さて、RMTは何故槍玉に挙げられているのでしょうか?

RMTはユーザーの楽しみと努力を無駄にする

まず、RMT市場が存在するオンラインゲームは確実に「現実・ゲーム内の貨幣のどちらかを多く持っているものが強い」ゲームに変化します。学生の新規ユーザーにとっては遊びにくいゲームであることには間違いありません。自由になるわずかな時間でキャラクターを育てて、仲間と強いモンスターに立ち向かうという楽しみは現金で買ったアイテムで身を固めたキャラクターに蹂躙されることになるからです。

RMTは貨幣生産のための違法行為を行う

RMTの業者は、ゲーム内貨幣を現実の貨幣に変換するためには沢山のゲーム内貨幣を保有していなければなりません。その為、ゲーム内貨幣に効率よく変換できるアイテムを落とすモンスターが多く居る場所を占拠し、「BOT」と呼ばれる自動化プログラムで操られたキャラクターをゲーム世界に放ち、貨幣生産を行っているのです。これらの行為は、オンラインゲームを管理する会社のサーバーに多大な負荷を掛けることにつながり、快適なゲームプレイを阻害するものとなっています。更には、「トロイの木馬」を仕掛けてRMTに加担していない既存ユーザーの希少アイテムや貨幣を奪うという手口まで発生しています。

RMTはゲーム内貨幣のインフレを生み出す

RMTのためにゲーム内貨幣が生産・収集されることによって、本来ならば貨幣やアイテムが行き渡る対象は減少していきます。こうして集められた貨幣やアイテムはRMT業者によって保管されるため、ゲーム内に出回りにくくなります。その結果、ゲーム内貨幣の価値は高騰しインフレになるのです。その姿は米不足の時の米業者の売り惜しみのようです。貨幣価値が高騰したため、RMTで現金をはたいてゲーム内貨幣を購入するという悪循環が生まれることになるのです。

RMTは日本の円を海外に不法流出させる温床となる

また、RMTの業者は中国や韓国に本拠を構えている業者が大半を占めているといわれています。これによって、RMTは不法送金の温床にもなっているのです。RMTでは、ゲーム内貨幣をほぼ無限に生み出すことが出来ます。ゲーム内の商人にアイテムを売れば相場よりは安くなりますが確実にゲーム内貨幣を得ることが出来ます。希少アイテムを大量に抱えて高額取引を行い、ゲーム内貨幣をRMTで売りさばけば、ほぼ無尽蔵に現実の貨幣を得られる錬金術が完成するのです。

RMTに対するゲーム会社の対応

RMTはオンラインゲームそのものを崩壊させる可能性を持った行為です。では、オンラインゲームを運営する会社はどのような処置を行っているのでしょうか?

RMT業者に有利だったシステムの改善

一番効果的なのは、システムの改善です。BOTなどのRMT業者によるゲーム内貨幣の生産システムを崩壊させることで、オンラインゲームは健全化するのです。しかし、システムの改善は建て増しに建て増しを重ねるようなものなので、オンラインゲームそのものに致命的な障害をもたらす事もあるのが問題点でもあります。

RMT業者の追放

RMT業者はオンラインゲームに接続するためのアカウントを、1日無料サービスなどを利用して大量に取得しています。この大量取得したアカウントで貨幣生産を行い、アイテムや貨幣を売りさばくための本命を正式に取得したアカウントで行っています。つまり、RMT業者の本命アカウントを排除すれば、RMTが出来なくなるのです。先だって、「Final Fantasy 11」を運営するスクウェア・エニックスはRMT業者のアカウントの大量排除を行っています。

RMTをゲーム運営会社自体が行う

第三の方法が、RMTを運営会社が行うようにするというものです。つまり、運営会社によるRMTのみが公式承認されているため、他のRMT業者が参入すると違法になるという形を取っているのです。この方法に近いのが「アイテム課金」と呼ばれる方法です。オンラインゲームは本来、ゲーム運営・維持のためにプレイ料金を設定してユーザーから徴収しています。このプレイ料金を原則無料にして、必須アイテムや希少アイテムを現実の貨幣で買うことによって運営・維持費を徴収するという方法なのです。

RMTを放置する

最悪の対応がRMTを黙認することです。「ラグナロクオンライン(以下RO)」を日本で運営するガンホー・オンラインは日本のROにおけるRMT業者の排除をほとんど放置している状態が続いています。思い出したように大量排除を行ったこともありますが、それでも一向にRMT業者は減る素振りさえ見せていません。

RMTは、一見すると忙しいユーザーに対する救済処置のように見えます。しかしその陰にはRMT業者に泣かされている大勢の正規ユーザーが居るのです。ゲームは、共通の制限の中で工夫を凝らし努力するからこそ楽しいのです。ゲームを崩壊させるRMTは、決して肯定してはいけない行為なのです。

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